借地権付きの物件を購入する際の手順・注意点!
借地権付き物件は、借地に建てられた家だからこその価格の安さという大きなメリットがある一方、借地権ならではの注意点もさまざまです。
今回は借地権付き物件の購入を検討されている方に向けて、購入の手順と注意点をお伝えします。
価格の安さにだけ注目して物件を購入したばかりに、後から面倒な手続きや地主とのトラブルで後悔することがないよう、事前に購入する際の手順・注意点をチェックしておきましょう。
借地権付き物件を購入する際の手順
借地権付き物件の購入は、基本的に土地ごと家を購入する場合と大きな違いはありません。ただし、住宅ローンの申込みや引き渡しで異なる点があります。
情報収集・問い合わせ・物件見学
不動産業者のサイトや新築物件の広告に「借地権」の表記があれば、それが借地権付き物件です。
借地権付き物件の購入を検討する際は、不動産会社や仲介会社に相談すると良いでしょう。地域密着型の会社であれば、借地権付き物件の情報をいち早くキャッチすることができます。
もっと詳しく見てみたい物件があれば、問い合わせをして見学の段取りをつけてもらいましょう。
購入申込み
買いたい借地権付き物件が決まったら、不動産会社や仲介会社に購入の申込みを行います。
物件の購入は不動産会社・仲介会社に「買付証明書」を提出することになります。
また、物件によっては購入の意志を示す「申込証拠金」の支払いが求められる場合があります。
申込証拠金は物件によって2万円~10万円の範囲で、売買契約の手付金の一部に充当され、契約に至らなかった場合は返金されます。
借地権付き物件は、借地権の残存期間に注意が必要です。残存期間が短い場合は、購入時に新規で借地契約を結ぶ前提で、借地権の売買を行なうようにしましょう。
住宅ローン事前審査
一般的な住宅の購入は住宅ローンの事前審査を受けるのが一般的です。
ただし、借地権付き物件は土地の所有権がないため担保価値が下がり、住宅ローン等の銀行融資を受けにくいというデメリットがあります。
最近では借地権付き物件への住宅ローンを取り扱う金融機関もありますが、それでも融資が受けづらいということは理解しておきましょう。
さらに、借地権付き物件に担保を付けるためには、地主から承諾を得る必要があります。
購入する際に住宅ローンを組みたい場合は、審査の可否や条件について、事前に不動産会社等に確認しましょう。
契約内容の確認・契約
購入申込みの7日~10日後に契約内容と重要事項の説明を受け、売買契約を交わして手付金を支払います。
手付金は売買契約をキャンセルしないことを約束するためのお金で、必ず現金で用意する必要があります。
一般的な手付金の金額は、物件価格の5~10%が相場です。
住宅ローン申込み
売買契約が成立したら、正式に住宅ローンに申込みます。金融機関の本審査を受け、無事に承認されれば正式なローン契約を結ぶことになります。
ただし、借地権付き物件のローンを組む際には、地主にローンを組むことへの承諾を得るために、「融資承諾書」への署名・捺印が必要です。
引き渡し・入居
売買契約に基づき、決済・引き渡しを行ったら、地域の法務局で「所有権移転登記」をします。
借地権付き物件を購入する際の注意点
借地権付き物件の購入の流れでも見たように、新たに借地権者となる方が注意すべきポイントを解説します。
住宅ローンが組みづらい
前述の通り、借地権付き物件は土地と建物をセットで購入する場合よりも住宅ローンが組みづらいというデメリットがあります。
借地権はあくまでも建物を建てる目的で土地を借りる権利であって、土地を自由に使う所有権ではありません。
したがって、土地と建物がセットになった物件よりも担保価値が下がってしまい、銀行が融資に難色を示すことになるのです。
銀行によっては条件さえ整えられればOKというところや、借地権付きの物件は一切NGというところもあります。
融資の可否を左右するのは、抵当権です。
銀行はローンが滞納されたときに、担保の土地を競売で処分して滞納分に充当したいと考えますが、借地権はあくまでも土地を借りる権利に過ぎないので、抵当権が設定できません。
逆に言うと、借地権付きの土地に抵当権を設定できさえすれば、ローンの条件はクリアーできるのです。
ローンを組む場合に地主の承諾が必要
借地権付き物件の購入にローンが組めるかどうかのポイントは、抵当権の設定にあると説明しました。
借地権の土地に対する抵当権の設定には、事前に地主の承諾が必要不可欠です。
滞納の場合に抵当権を行使して回収する方法を明確にしておき、「融資承諾書」に地主の署名と捺印をもらいます。
ただし、抵当権の設定は地主にとって所有権を持っている土地を担保に取られるわけですから、当然のことながら不利な契約に承諾しなければなりません。
多数の借地を所有している地主であれば、抵当権について心得ている人も多いようですが、個人の地主となると承諾がでないケースもあります。
ローンを組むために、地主にとって不利な内容に承諾を得る必要がある。それゆえに、借地権付き物件は住宅ローンが組みにくいと言われているのです。
借地権の残存期間
借地権の残存期間は、1992年8月1日の借地借家法(新法)施行の前後で扱いが異なります。
旧借地借家法が適用されている場合は、建物が鉄筋コンクリート造やレンガ造が最低30年、木造が最低20年とされています。更新の際は前者が30年、後者が20年となり、これより短い期間を定めた場合は無効です。
新借地借家法が適用されている場合は、建物の種類に関わらず、最初の借地契約の期間が30年以上と定められています。借地権更新の際には1回目の更新時は20年以上、2回目の更新は10年以上と最低期間が決められています。
ただし、新法が適用された「定期借地権」の場合はまた話が変わってきます。定期借地権は残存期間を50年以上と定めたうえで、期間が満了したら契約更新ができず、建物を取り壊して地主に返還する必要があります。
したがって、定期借地権付きの物件の場合は、「残存期間=居住できる期間」となるので注意しましょう。
地代や更新料など維持にはお金がかかる
借地権付き物件は、固定資産税や都市計画税が課せられない代わりに、毎月地主に地代を支払う必要があります。さらには、借地契約期間が満了した際の更新、第三者への転貸・売却、増改築や相続など、ことあるごとに地主の承諾と承諾料の支払いが必要となります。
地主が承諾する行為によって承諾料は変動しますが、更新や売却の場合は借地権価格の10%ほどがかかり、借地権者にとっては少なくない負担となります。
借地権付き物件は面倒な手続きや承諾料がある反面、買い手が少なくリーズナブルな価格で購入できるというメリットがありますので、費用対効果を十分に検討しましょう。
まとめ
借地権付き物件の購入で失敗しないためのポイントは、次のとおりです。
- 借地権に精通している不動産業者に任せる
- 地主との良好な人間関係を築く
借地権付き物件は、土地と建物をセットで購入する場合に比べて、好立地の物件でもリーズナブルに購入できるというメリットがあります。
しかし、一方ではローンが組みづらい、事あるごとに地主の承諾や承諾料が必要など、さまざまな制約・条件といったデメリットも考慮しなければなりません。
一般的な物件の購入よりも面倒なことも多い借地権付き物件だからこそ、専門に取り扱う不動産業者に依頼し、購入前や入居後に発生するトラブルに対応できるようにしましょう。
さらに、借地権付き物件は地主の存在が大きなキーポイントです。借地権者と地主が良好な人間関係を築くことができれば、デメリットやリスクを軽減することも可能です。
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